子どもの幸せを願うように、自分の幸せも大切にしていい 

前回は、子どもに「どうしたい?」と尋ねるとき、その質問は誰のためのものだろう、というお話をしました。

子どもの気持ちを大切にしたいと思う一方で、親自身の気持ちや願いは、後回しになってしまうことがあります。今回は、子どもの幸せを願うことと、親自身の幸せを大切にすることについて考えてみたいと思います。

「まず、お母さんが幸せになりましょう」と言われても

子育てについて学んだり、相談に行ったりすると、「子どもを変えることはできない。変えられるのは自分」「まず、お母さんが幸せになりましょう」そんな言葉を耳にすることがあります。

確かに、親自身の気持ちが楽になることは大切です。けれど、その言葉をどんな状況で聞くかによって、受け取り方は違います。「私が変わらなければいけないんだ」「私が幸せじゃないから、この子もうまくいかないの?」「子どものことで精いっぱいなのに、自分の幸せまで考えられない」。そんなふうに感じることもあるかもしれません。

同じ言葉でも、そのときの心の状態によって、励ましにもなれば、重荷にもなるのだと思います。

心に余白がなくなると

子どものことで頭がいっぱいになっているとき、私たちは、いつもなら気にならないようなことまで気になってしまうことがあります。子どもの表情や行動が気になる。この先どうなるのだろうと不安になる。少しでもよい方向に向かってほしくて、つい声をかける。けれど、その声かけが子どもには否定的に聞こえてしまったり、親自身も「また言ってしまった」と自分を責めたり。

そんなふうに、親の不安が子どもに伝わり、子どもの反応を見て、さらに親の不安が大きくなる。そんな循環が生まれることもあります。

もちろん、子どもの状態がすべて親の関わり方で決まるわけではありません。子ども自身の事情や、さまざまな環境も関係しています。ただ、親の言葉や表情、家庭の雰囲気が子どもに与える影響は小さくありません。

だからこそ、親自身の不安が少し和らぎ、心に余白ができることには意味があります。心に余白が生まれると、子どもの言葉を受け止めやすくなったり、今までとは違う見方ができたりすることもあります。それは、子どもとの関係にもよい変化をもたらすかもしれません。

子どもたちから大人へのメッセージ

以前、川崎市の子ども会議で、子どもたちからこんなメッセージが出されたことがあります。

「まず、おとなが幸せにいてください。おとなが幸せじゃないのに子どもだけ幸せにはなれません。」

また、NHKドラマ『ひきこもり先生』でも、子どもが大人に向かって「まず大人が幸せになってよ!」と伝える場面がありました。

一つは子どもたちが実際に発したメッセージで、もう一つはドラマの中の言葉です。形は違いますが、どちらにも大切なことが込められているように感じます。

子どもは、親が自分のために一生懸命になってくれることを、どう受け止めているのでしょう。親が自分のことを後回しにして、我慢して、いつも子どものことばかり考えている姿を見て、子どもは本当に幸せを感じるのでしょうか。

親と子、それぞれの幸せがあっていい

以前、あるお母さんが、こんなふうに話してくれました。

「自分が幸せになったってしょうがない。この子が幸せになることが私の願いなんです」

その言葉から、わが子を思う気持ちが伝わってきました。子どもの幸せを願うことと、親自身が幸せになることは、どちらか一方しか選べないものなのでしょうか。

では、親と子、それぞれの幸せを大切にするとは、どういうことでしょうか。そのためには、親と子は違う人間なのだということを、改めて意識してみることも大切です。

親は、自分の経験や価値観をもとに、子どものことを考えます。自分ができたことなら、子どもにもできるだろうと思ったり、自分ならこうするのに、と考えたりすることもあるでしょう。けれど、自分にとって簡単なことが、子どもにとっても簡単とは限りません。反対に、自分には難しいことが、子どもには簡単にできることもあります。

親子であっても、感じ方も、考え方も、得意なことも違います。幸せの形だって、きっと違います。

親が幸せだと思うことと、子どもが幸せだと思うことも同じとは限りません。子どもの気持ちを大切にするように、自分の気持ちも大切にしていい。子どもの幸せを願うように、自分の幸せも願っていい。

親が自分の人生を楽しんでいること、自分の気持ちを大切にしていること。それも、子どもに伝えられる大切なことの一つではないでしょうか。

親も子も、それぞれ一人の人間です。どちらかが自分を犠牲にするのではなく、お互いの気持ちや人生を大切にしながら、一緒に暮らしていく。そんな親子関係を育んでいけたらと思います。

親と子は違う人間だからこそ、親が願っていることと、子ども自身が願っていることを、少し分けて考えてみることも大切なのかもしれません。

次回は、「親の願いと子どもの願いを分ける」ということについて考えてみたいと思います。

(執筆:鈴木友子COACH)
外部リンク:ホームページ https://coachsuzutomo.com/blog/


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