私は、保育士の資格を活かして幼児教室の講師をしています。その教室の親子クラスで時折みられる出来事をお伝えします。
言葉が出始めてチョコチョコ動き回れるようになったら、お母さんたちには新たな悩みが出てくるようです。
お母さん同士は、家庭でのお子さんの様子を語らいます。
「イヤイヤ期にに入ったようで、もう大変。何を言ってもイヤイヤーって。この間はね、横断歩道の真ん中で突然ひっくり返って大騒ぎして大変だったのよ。」
「お兄ちゃんとよくおもちゃの取り合いになってね、お兄ちゃんはおとなしいから、いつもこの子にとられちゃって、お兄ちゃんがかわいそうなの」等、子どもにとってお母さんに言われたくないことを子どもの前で無意識に話している場面が多々あります。
大人から見れば、たわいのない会話なのですが、子どもたちはしっかり聴いています。
ミツくんはさっきまで機嫌よく遊んでいたにもかかわらず何やらモゾモゾし始めます。しまいにはお母さんに甘えて赤ちゃんみたいになりました。そして、体を反らせて泣き出します。
お母さんから離れて遊んでいたハーちゃんは、ソーッと戻ってきました。何やら自分の存在をアピールするかのようにお母さんにひっつきます。それから、何やら話し始め、足をバタバタさせながら泣き崩れてしまいました。
この子どもたちは、体調不良や遊びの中の困り事でぐずり始めたのではないと、これを読んだ皆さんも何となくわかると思います。
まだ一言くらいしか話さない子どもでも実は大人がどのようなことを話しているのかわかるのです。
それは、なぜでしょうか。
人は、言葉のやり取りだけでコミュニケーションをとるわけではないということを知っているからです。顔の表情や声色、身振り手振り、それを取り巻く環境などのすべてがコミュニケーションには必要です。
言葉を覚えるときも、音だけで習得していくものではなさそうです。その言葉に込められた想いも知っていくのだと教室の子供たちにから教えられます。
お子さんたちがグズリだしたら私たち(講師)の出番です。
「あらー、どうしたの~。聞いていたの、でもね、お母さんは〇〇ちゃんのことが大好きなんだって~。」
「それからね、〇〇ができるようになったんだって~。すごいね。お母さんも喜んでたよ。」
お母さんたちは、苦笑いしながらも愛情たっぷりに子どもを抱きしめます。
そんなとき、教室が幸せいっぱいに包まれ、講師として、子育てCOACHとして嬉しくなるのです。
子育てCOACH 高橋知夏子